柳暗花明

たまたまテレビをつけたらNHKで「サザンオールスターズスペシャル」~テレビからの贈り物~をやっていて、思わず見入ってしまった。

だって、ほぼ私の青春時代から今にかけて、ずっと途切れることもなくサザンの曲は流れ私の傍らにあった。世相を歌っている曲が多く考えさせられたことも。

1978年「勝手にシンドバット」でデビューした時には、音楽関係者からはボロクソに言われた。「一曲屋」だとか、「来年には姿を消しているだろう」とか。けれど大衆に受け入れられて、今やビートルズの並ぶのではないかとまで言われたりもしている。ビートルズもデビュー当時は業界では受け入れられなかったという過去もあるし。

子供の頃にはこんなものを観ていましたと紹介したのが「寺内貫太郎一家」や「岸辺のアルバム」。私も同じものを観ていたぁ~!同じようなことを感じていたよー!

「世間的にこうしなくちゃいけない!という考え方が、それがもっと自由でもいいの? 違う生き様を見せてくれたと」

私が言葉に表せなかったことを上手に桑田さんは表現してくれた。

「寺内貫太郎一家」のケンカしながらも仲の良い家族。一緒にみんなで食事をしながら言葉を交わして(そのうち言葉の行き違いでケンカになっていくのが常だが)お受験ブーム前の家族の形だった気がする。

「岸辺のアルバム」は実際に多摩川が決壊した時のことをドラマにしたもの。ドラマがハッピーエンドではなかったことに子供ながらに衝撃を受けた。よく親もこんなドラマを見せてくれたと今となって驚いている。夫の秘密は東南アジアから風俗業の女性を「輸入」していること、妻のそれは不倫、姉のは白人留学生にレイプ。子供には刺激が強かった。今でも記憶に残っているドラマに。

2023年神宮外苑周辺の再開発問題、坂本龍一が先頭に立って反対していた。マスコミの文章などではわからなかった坂本龍一の想い。とにかく開発反対と声高に騒いでいるように思っていた。

「自然と共存できる道を探そう」と彼は呼び掛けていた。それを知った桑田さんは慣れ親しんだ風景がかわることに思いを馳せて曲を作った。それが「Relay~杜の詩」。

坂本隆一はやみくもに反対しているのではなく、未来を作るのであればもう少し丁寧に説明してくれませんか?と言っていることを知ったからだと。

表現者ってつくづくいいなぁって、羨ましく思った。

そして、私の中でいま感動しているのは「桜、ひらり」。地震で被害を受け、その後豪雨で多大な被害を受けた地域に桑田さんは応援のエールを送っている。

曲が出来るまでの彼の想いを聞いてからこの曲を聞きなおすと涙が出ていてしまう。

ホッとしたのは、あれだけすごい人が「自分の物なんてほとんどなくて、常に聞きかじりとか、、模倣の寄せ集めで今が出来上がってきている。」なんて言って。

でも本当はやっぱりすごい人で、「いろいろなもので学ばせてもらっている、勉強させてもらっている」と常に謙虚にいろいろなものを受け入れていること。

私も一つ、曲の中で「柳暗花明」と言う言葉を知った。

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